つまみ細工屋〜花歌うさぎ

趣味の延長でつまみ細工を中心にハンドメイド製作・販売をしています。

つまみ細工とは〜 No.1東京都伝統工芸品「江戸つまみ簪」との違い


ようこそいらっしゃいませ☆

今日は、東京の伝統工芸に指定されている「江戸つまみ簪」についてお話ししたいと思います。

 

堅苦しいことは嫌いですが、何事にも始まりがあり歴史があります。

その歴史を知ることで、今のつまみ細工を更に深く美味しく濃厚に味わって頂きたく思い、起源から色々と何日かに分けてお話し致しますね。

 

「つまみ細工」と「つまみ簪」は同じ物であって同じ物ではありません。

図書館の手芸コーナーの棚には「つまみ細工」の棚がある図書館も今ではよく見かけますね。とても嬉しい傾向です♪しかし、図書館でもそうですが「つまみ簪」を身近に聞く機会はなかなかないかと思います。

伝統あるつまみ細工ですが、伝統工芸品に指定されているのは「江戸つまみ簪」であり「つまみ細工」の中でも特定の物に限られているのです。

しかも東京都の伝統工芸品であり東京の名産物と東京に限定されています。

江戸つまみ簪」!、ここにつまみ細工と一緒くたにできない職人の拘りとプライドが詰まっているのだと、江戸つまみ簪職人さんに直接お話しを聞いて私は感じました。

 

「江戸つまみ簪」とは〜歴史

起源は定かではありませんが、

江戸時代初期に、江戸城の大奥で古くなった着物を再利用して、遊び感覚で簪にしたのが始まりだと言われています。

その後、桃割れ島田髷・花かんざしに愛用され、当時の江戸土産としてとても人気があったそうです。
江戸時代中になると、櫛・簪・楠玉などが作られていました。彩も鮮やかで値段も手頃であったため、参勤交代のおりなどの江戸の土産物として喜ばれていたようです。

現在、当時の品は殆ど残っていませんが「白虎隊記念館」に陳列されてる遺品の中に「つまみの楠玉」があり、江戸からの土産物ではないかと言われています。

魔除の意味もある楠玉が遺品の中にあったというだけでも、いく年経っても変わらぬ人の想いやりが感じれますね。

 

つまみ簪の製法

羽二重という絹の小片(正方形)をピンセットで三角形につまんで折り畳み、のり板の上に揃えます。そこから台紙の上につまみ片を飾り付けていき、この工程を「ふく」と言います。

ここでちょっと雑学☆この「ふく」語源は、飾り付けていく様が瓦屋根を拭く様子に似ていることに由来していると言われています。

のり板に整然と並べられているつまみ片は確かに瓦屋根を連想させますね。作品になる前から綺麗だと私は作りながらいつも思います♪近々その写真もお載せします^ ^

 

本当の工程は裁断・染色から始まり、組み上げ・仕上げ等がありますが、この辺りは実際にご覧になった方が分かりやすいかと思います。

 

「江戸つまみ簪」職人であり、「つまみかんざし博物館」の石田さんにお話しを伺った所、現在は作業場は公開していないとのことでしたが、催し等で実演販売を行なっているそうです。(日時は下記に掲載します)

子連れで来館したのですが、とても心よく対応して下さいました^ ^

その時の写真もご許可を頂いたので、次の機会に掲載したいと思います。昭和初期の虎と龍の作品は圧巻でした☆

 

「東京都伝統工芸士」の今〜

東京都労働経済局商工振興部工業振興部 発行の「東京伝統工芸士名簿」と言うのがあります。(H7、2月発行)

それによると、江戸つまみ簪の東京都伝統工芸品産業製造従事者数は7名。(こちらは20年以上の実務経験年数などの資格要件がある)

「東京職人」(H27年8月発行)と言う書によると、江戸つまみ簪職人は15名ほど。

「つまみかんざし博物館」の石田さん云く、現在(令和元年)は10名ほどまで減ってしまっているそうです。

 

寂しいですね。。。

 

この記事をここまで読んでくださったあなたにお勧めしたい本があります☆

 

江戸東京職人の名品」(H18、2月)

編著 TBS「お江戸粋いき!」制作スタッフ

 

色んな本で調べ漁りましたが、この本が一番魅力的でした♪特にまえおきが最高です☆

江戸の、東京の心意気をユーモラスに語り伝統の世界に楽しく先導してくれます。

ページもカラー写真が多く実際の品物の値段まで掲載されています。

この本をきっかけにつまみ細工を始め、もっと伝統工芸の魅力に取り憑かれる方が出れば、、、私は密かにガッツポーズをします。

 

普通には閲覧できないかも知れませんので、図書館の司書の方に尋ねてみて下さい。

大丈夫、司書さん怖くないですよー♪←司書ですw

 

 

楽しくて長々とお話ししてしまいましたが、本日はここで失礼します♪

 

皆様に毎日に小さな幸せが訪れます事を願って〜紫陽花を添えます♪

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お菊

 

 

 

「つまみかんざし博物館」石田さんの実演販売の予定

2020年1月9日(木)〜13日(月)

高島屋新宿店 11階「東京都伝統工芸品展」

2020年2月11日(火)〜16日(日)

名古屋 ノリタケの森ギャラリー「つまみかんざし展」

 

 

 参考文

「東京の伝統工芸品」H6,3 東京都労働経済局商工振興部工業振興部 発行

「東京職人」2015、8 柳谷行宏 発行者

「日本の地域ブランド名産品」2009、2 大高利夫 発行者

「歴史が育む江戸の技 東京の伝統工芸品」H11、1 社団法人東京産業貿易協会 発行